楽天への複数店舗出店のメリットとデメリットを考える
楽天に長期間出店していると、どうしても売り上げが頭打ちになってしまう状況が出てきます。
競合店の増加や市場の飽和によって、新規顧客が獲得できなかったり、価格競争に巻き込まれて苦しい戦いを強いられる、なんてことは良くあるのではないでしょうか。
特に楽天やYahoo!などのショッピングモールは、景気や競合店などの外部環境の影響をモロに受けます。
そういった中で、負の状況下にあるお店の打開策として、経営者や店長さんから上がるのが「楽天への複数店舗・多店舗展開」という方法です。
(もちろん、お店が伸びている中での積極策としての複数店舗・多店舗展開もあります。)
今回はそんな楽天内の複数店舗・多店舗展開のメリットとデメリットを、実際の経験から取り上げてみましょう。
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複数店舗・多店舗展開で売上が1.4倍に
まず、私自身の経験からお話しましょう。
私がお手伝いをしているアパレル企業では、社内的な大人の事情で、楽天にもう一店出店することになりました。
残念ながら、ポジティブな理由での複数店舗出店ではなく、ネガティブな理由でした。
事業者は別法人になりましたが、扱っている商品の大多数は同じラインナップです。
そうなると、商品単価も同じ、ターゲットとする層も同じ、販売戦略も同じ…
当然のことながら苦戦が予想されました。
そのままでは複数店舗出店のメリットが全くないので、商品が同じであったとしても、商品写真を別モデルで撮り直して、商品名も違ったものにしました。
後ほど詳細をお話しますが、これはひとつ大きな有効策だったと思います。
旧店舗は長年にわたって出店しているので、SEO対策もしっかりと出来ており、主要なキーワードで検索結果1ページ目に多数商品が掲載されます。
一方の新店舗は、出店したてでいきなり1ページに表示させることは現実的でなく、集客方法のメインは当然ですが広告になります。
サーチワード広告やCPC広告は、ほぼ同じキーワードで出稿されるので(私が二店舗の集客を担当していたということもありますが…)、旧店舗と新店舗は思いっきりバッティングします。
旧店舗は今まで広告経由で引っ張ってきたお客さんが減り、売上が落ちました。
新店舗の方も、旧店舗という強力なライバルがいるためになかなかすぐには結果が出ませんでした。
しかし、新店舗を出店して3ヶ月が経つ頃には、二店舗の売上合計金額が、前年の旧店舗のみの金額を上回る水準に達しました。
現時点で6ヶ月が経過していますが、平均すると前年度比140%程度の売上を記録しています。
「サブジャンルTOP10平均売上」を見ると、前年から足踏みの状態でしたので、複数店舗・多店舗展開による効果はあったと言えるでしょう。
戦略性がなければ「メリット」>「デメリット」にはならない
さて、改めて複数店舗・多店舗展開によるメリット・デメリットを考えてみましょう。
【メリット】
・お店の戦略の幅が広がる
・今までターゲットとしてこなかった顧客層を取り込める可能性がある
・お客さんが自社の商品を目にする機会が増える
・楽天サーチの検索結果を自社の商品で埋められる可能性がある
【デメリット】
・ターゲットの顧客層が被ると旧店舗の売上が落ちる
・商品のレビューが分散する
・固定費用が一店舗の時よりも多くかかる
・手間が一店舗の時よりも多くかかる
簡単に挙げるとこのような感じでしょうか。
こうやって見てみると、しっかりとした戦略性を持って複数店舗・多店舗展開しないと、メリットを享受することはなかなかできないように思います。
デメリットは避けようのないものなので、売上停滞を打破するための悪あがきといったスタンスで考えているのであれば、あまりおススメできるものではありません。
お店ごとにターゲットを変えたり、専門性を変えたり、テイストを変えることで、住み分けをすることで、初めて複数店舗・多店舗展開の良さが生きてくるのです。
お客さんの選択肢に最後まで残り続けるには…
先ほど取り上げた私の経験では、結果的に売上を伸ばすことが出来ていますが、このケースでも商品写真を使いまわしていれば結果は惨憺たるものだったと思います。
重要なのは、自社の商品のいずれかが、最後までお客さんの選択肢に残ることなのです。
同じ商品であったとしても商品写真を変えることで、お客さんにしてみれば「新たな商品」=「新たな選択肢」になるわけです。
それと同様に、旧店舗がカジュアルなテイストのお店だったのであれば、新店舗はちょっと高級感のあるお店にしてみればいいのです。
旧店舗が幅広い商品を扱っていたお店だったのであれば、新店舗は特定のジャンルだけに絞った専門性のあるお店にしてみればいいのです。
自社の店舗で、様々な住み分けができれば、お客さんの選択肢に最後まで残れる可能性は高くなります。
このようなしっかりとした戦略性があれば、複数店舗・多店舗展開によって売上を伸ばすことができるでしょう。
あなたのお店でも、メリットがデメリットを上回るようであれば、検討してみてはいかがでしょうか。